自転車でフラッと海へ行くブログ

海が見たくなって自転車で出かけた 白浜、沖縄、タイのタオ島を経て紅海まで行く予定。なおダイビングのライセンスは日本に届いたのでまだ手にしてない

世界でいちばん贅沢な旅

内田百閒という作家の先生がいる。読み方はひゃっけん、夏目漱石の弟子だった人だ。

阿房列車、あほうれっしゃという、ただ電車に乗ってお酒を飲むだけの旅。その随筆、エッセイを書いていてそれが面白い。

著作権法改悪のせいで保護期間が没後70年に延長されたので残念ながら青空文庫じゃあとしばらく読めない。

観光するでもなく、用事もなくただ電車に乗っていろんなことに行くだけ。大量の魔法瓶に詰めて持って行った熱燗が、電車待ちのホームで飲み尽くされて無くなる。

 

例えば旅をする人で、気負って日本一周だとか世界一周だとか標榜する人が多い。

旅行中に日本人に会うたびにこう聞かれる。

「世界一周ですか?」

別に一周なんてしないですよ。

そう答えると、何故か困ったような顔をされる。

フラッと気の向くまま行きたい場所に行くだけです。

何でわざわざお金かけて、つまんない場所も込みで一周しないといけないの。

 

世界一周中のバックパッカーです。

そう言うと、ポジションがはっきりするのでわかりやすいのだ。

人は自身がすでに持っている認識の中でしか、他を認識出来ない。

 

例えばミャンマーまで来ておいて、俺はバコダだかパコタだかいうものを知らない。

だから目の前にそれがあったとしても、きっとへんな石?建物?寺なの?があるな、だとしか思えない。

ググって、(既に知っている)言葉を使った説明を読んだり写真を見て初めて、あパゴダだったのか。ストゥーパとおんなじ意味なんだ、というのが分かる。それを理解した時点でやっと、目の前の建物が認識出来る。それまでは、例え目に写っていたとしても見えない、よく言って妙な背景に過ぎない。

 

じゃあ何も知らない子供や赤子が認識出来る世界を広げられるのは、興味や好奇心があるからだ。

 

海外旅行者をも含めた大半の日本人の認識の中では、海外長期旅行をする人は世界一周するものだという固定概念が植え付けられていて、そこからはみ出したものを見ても変種くらいにしか感じられない。

 

それに対する興味もないのだ。

 

生真面目な、ともすれば休みなしで働き続けるデスレールウェイを現在進行形で走り続けている日本人。

彼らがそこを脱線するためには世界一周という大義名分、別の軌道が必要なのを否定はしない。

東回りだか西回りだか興味がないから知らないけど、みんなが通った軌跡を踏襲すれば一定の評価が得られる。一周なんてすごーい。偉いね、頑張ったんだー。SNSでもブログでもいいねとか星がついて、まだ行ったことのない人にマウント出来て、ちやほやされるんだろう。

 

そこからはみ出したら、何もないから。

 

ただフラッと電車に乗って酒を飲んで、近所を自転車で散策して変な岩とか寺みたいな奴をよそ目に現地人と笑いあったり騙されたり。

 

そんなものは、無価値だから。

 

価値のあるものにしか意味を見出せないから。

 

でも見聞を広めるといってしゃかりきに名所名跡をはしごしたとて心に何が残るのか。高い入館料を払ってタージマハルに行って見たその印象は、心の中にしか存在しないブラックタージマハルに優るのか。

 

内田百閒先生は電車で行った山形だったか秋田だったかの、鳥海山の麓の宿に泊まってずっとお酒を飲んでいた。

ふと思いたって、宿の人にあのなんとか言う有名な山はどれですかと尋ねると、あれですと指さされた。でもよくわかんなかったからまあいいやと飲み直す。

 

お金がないから借金をして旅に出る。

必要な旅じゃないから借金を断られても腹が立たない。

これこそが余裕で、それこそが贅沢なわけです。

なんの意味も理由も目的もなく、行きたいと思った旅をするだけ。

 

価値や評価に自縄自縛してつまんない事をするのは俺には無理だなあ。

 

 

 

 

 

ゲストハウスにはいろんなタイプがあるけど一番嫌いなのは常連宿。

何度も来てて、住み着いてるような奴がのさばってるところは面倒くさい。

なんでフラッと立ち寄った場所で知らない奴にでかいツラをされないといけないのか。

 

陽気な外人が夜中まで騒いでるやかましい宿よりもよっぽど嫌い。

 

新規の客より要領を知ってる常連の方が扱いが楽なのはわかる。

バーでも同じだけど、マスターが常連とだけ喋って新規を疎かにするところは、いくら今流行っていても次第に廃れる。

新参に厳しいところに未来なんてない。

 

自分が常連になればいい?

そしたら後から来た新規の客にでかい顔を出来るって?

それは京都人とかフランス人がしてるような勘違いだ。

うちは一見さんお断りどす。歴史と伝統。んなもん豚だって食わねーよ。ワインなんぞ楽しく酔えりゃいい点でビール以下。値打ちこいてる屑。埃を被ってカビが生えた過去の遺物、ハッタリで偉ぶらなきゃ食いつなぐこともできない。

あらかじめ著名人だか誰かに認められた存在、それにしか価値を見出せない貧しい発想しか出来ない人だけがありがたがって重宝する。ヴィトンのカバン、デュラエースの電動コンポ。

 

何度でも言うけど、それは全部頭の悪い勘違いだ。ワインなんかだいたいマズい。京都なんてほとんどつまらん。現地じゃババアしか買わない鞄のあの変な模様に見栄以上のどんな価値があるのか。無段階トロイダル式コンピュータ制御オートマチックにはいつ変わるのか。

 

世界を回ってわかるのは、どこに行ってもそういうバカがたくさんいることと、でもそうじゃない人もいるってこと。

そういう人に会えた時だけ、たまに幸せを感じる。

上っ面だけじゃなくてほんとに仲良くなれるのも。

 

今日のわんこ

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モーラミャインの安宿の一番近くにある屋台。そこに顔を出したのは野良ちゃん。

耳が大きいね!

音がよく聞こえそう!


モーラミャインの白犬

でも鼻きったないね!

何か掘ったの??


モーラミャインの白犬2

 

 

自分の承認欲求のために友達のFBのタイムラインを汚さないようにはじめた当ブログ、それでもこんな駄文を読ませるだけじゃ読者の皆様に申し訳ないのでかわいい世界のわんこ動画を乗せるのがこのコーナーの意図です。